「リーダシップとは2つの要素にて構成されている」という三隅二不二(みすみ じゅうじ/じふじ)さんが提唱されているPM理論から本当のリーダシップやチームワークについて考えてみましょう。このブログを何度か読んで頂いている方ならば、何となくどんな方向性に行くか予想できると思いますが、まあ読んでみて下さいな。これまで言いたかったことが、PM理論とSL理論でスッキリしました。
「自称、日本一従業員として、組織の長所も短所も見てきた治療院コンサルタント」(こんな肩書の方他にいませんが)として、治療院業界の組織としての在り方について「う~ん、どうなの?」という感じで疑問符を投げかけたいと思います。
疑問符背中に背負って、僕は毒づいてやるんだ♪ by BLUE HEARTS
組織が上手く回らない一番の要因は「経営者としてこうあるべきだ」という理想と現実とのギャップが生じたときに、現実面を観なくなることで起きているように、多くの経営者さんを見てきて感じております。理想に対する情熱が、間違った方向に向いてしまうという形です。
「情熱なんていらない」という事ではなくて、情熱や従業員に対する愛情があるのは当たり前で、でも現実はキレイごとだけでは終わらないので、汚い部分もしっかりと直視し、現実と向き合っていきましょう。組織を大きくして維持していくためには、苦渋の決断も出てくるでしょうし、それらとしっかりと向き合いましょう、という話です。本当にこれは勇気のいる決断だと思いますが、色々な組織の汚い部分を見てきて幹部の仕事は「無理やり帳尻を合わせて、キレイ部分だけを経営者に見せること」だなと諦めが入りました。
どれだけ組織を変えようと戦っても、やはり経営者の決断には勝てません。「組織を変えたい」と思うならば、従業員が変わる事よりも、経営者が変わらないと何も変わりません。
組織改革は経営者が行う事で、従業員はそのお手伝い
一番在籍が長かった組織で、体制を変えようと一人の上司と色々頑張ってみましたが、最終的には「会社を変える事は無理やったな」と二人で落胆し、梅田で酒を飲み倒した記憶があります。上司から「力不足ですまん」と帰り道にボソッと謝罪された時に、尊敬の念を強く抱きました。(熱かった、若かった。その数か月後に退職しました)
PM理論をザックリ説明、詳しくは検索して自分で調べてね
申し訳ないですが、 SR STATIONさんより引用させて頂きます。
PM理論では、リーダーシップをP行動(目標達成能力)とM行動(集団維持能力)の2つの要素で構成すると前提しています。
目標設定や計画立案、メンバーへの指示などにより目標を達成する能力(P)と、メンバー間の人間関係を良好に保ち、集団のまとまりを維持する能力(M)の2つの能力の大小によって、4つのリーダーシップスタイル(PM型、Pm型、pM型、pm型)を提示し、PとMが共に高い状態(PM型)のリーダーシップをめざすというものです。 SR STATIONより引用
画像も引用しております。
- PM型(PM共に大きい):成果を上げる事もでき、組織を潤滑にまとめる事も出来る理想的な形。
- Pm型(Pが大きく、mが小さい):成果を上げる事は出来るが、組織をまとめることが出来ないタイプ。
- pM型(pが小さく、Mが大きい):組織をまとめる事は出来るが、成果を上げることが出来ないタイプ。
- pm型(pもmも両方小さい):組織をまとめる事も成果を上げる事も出来ないタイプ。(一番やばい)
このようにPM共に大きいPM型が一番理想的な状態になります。また、研究結果で「pm→Pm→pM→PM」の順で劣っていることが実証されているようです。成果よりも、組織を維持する(人間関係?)を重要視する方が後々は良い結果が生まれるという事です。
そうか、やっぱり人間関係は重要だ「飲み会しよう」「従業員の意見を聞こう」「朝礼で理念を唱和しよう」と決断するのはちょっと早い
PM理論をググって調べてみると(本買って読めよの意見は無視)「そりゃそうだよね、でも何か違和感が」と思っていると、そのまた違う理論がありました。それはSL理論というものです。
PM理論では、組織に対して成果を重視しながら組織を潤滑に維持する事で(PM型)良好な結果を生むことが出来るとされていましたが、PM型のリーダーでも必ずしも成果を出すことが出来ない事例が多数出てきて、追加条件として生まれた一つがこのSL理論になります。
|SL理論を軽く説明、詳しくはまたまた自分で調べてね
またまた、引用失礼します。
SL理論とは、マネジメントする人間がどのようなリーダシップを取るのが望ましいかは、部下の成熟度によって異なるという考え方である。効果的なマネジメントを行うには、状況に応じてリーダシップのスタイルを変えていく必要がある。
1:教示型タスク志向が高く、人間関係志向の低いリーダシップ。部下に具体的に指示しながら、業務を監督する。対等の立場での協労的行動はとらない。新入社員などに対して効果的な型。
2:説得型タスク志向、人間関係志向がともに高いリーダシップ。リーダが考えを説明し、部下の疑問に応えながら業務を進める。部下に考えさせたり意見を求めたりする。積極的に指示的、協労的行動をとる。ある程度業務の状況が把握できている入社5年目以下程度の社員に効果的な型。
3:参加型タスク志向が低く、人間関係志向の高いリーダシップ。リーダは、部下の自主性を促すための激励や環境整備を行う。リーダと部下の考えを融合させ意思決定するようにする。指示的行動はあまりとらず、対等の立場での協労的行動をとる。業務の実情を自分と同程度知っている中堅社員に効果的な型。
4:委任型タスク志向、人間関係志向がともに低いリーダシップ。部下に仕事遂行の責任を委ねる。権限や責任を委譲し、極力管理しないようにする。業務の実情に関して自分より詳しいベテラン社員に対して効果的な型。 Q-BPMさんより引用
という事です。SL理論では「全ての状況に対応出来る普遍的な、リーダーシップの方法はない」という考えをもとに作らてています。SL理論を見た時に「そう、これを言いたかった」とスッキリしました。部下の熟練度によってリーダーシップの取り方は異なるという事です。
また、SL理論では部下の成熟度を以下のように分類しています。度々、引用ばかりですいません。
<部下の成熟度>
・目標設定意欲
・コミットする意思と能力
・仕事を遂行する為の教育と経験
などによって測り、・成熟
・やや成熟
・やや未成熟
・未成熟
の4つの度合に分類する。Q-BPMより引用
これまでこのブログでは「とりあえず、決められたことを完全作業でやることを目指そう」「自分のやり方を主張できるのは、決められた事を出来てから」「決められた事が出来ないのに、自分で何かを考えて出来るはずがない」という考えを主張してきました。この考えは、チームワークを重視する経営者さんからちょこちょこご意見を頂きます。
簡単に言うと「従業員はロボットじゃねえ」「従業員の意見を無視するのか」的な内容です。
ぶっちゃけて言うと、治療院業界の人材の質って低くないですか?
ここでいう質とは人間性の話ではありません。(ここ重要)こういった話をすると、すぐに人間性批判と直結する人が多い。誰もそんな事言ってません。仕事の経験値や意欲の話をしています。「自分は、一生従業員でいい」という選択をした人が、誰も悪いなんて言っていません。逆にそういう人でも、残れる治療院が増えてほしいと思っています。本人の意思を無視して組織の都合で、無理やりポジションを与える方が多きな悲劇を生みます。(ノイローゼに近い状態)
関連:独立傾向が高い業界という部分を改善すると、居場所が出来る人たちも増えるという話
SL理論でいうところの「目標設定意欲、コミットする意思と能力」は、幹部クラスになるとそこそこあると思いますが、「仕事を遂行する為の教育と経験」が圧倒的に不足していると思います。教育(理論)は外部研修期間等である程度補うことが出来ますが、経験値は院の体制が変わらなければ得ることが出来ません。(実践と試行錯誤が必要なため)
治療院では施術だけを行い、売上高をある程度安定して獲得できる人=マネージャーとなるケースが多いと思いますが、施術とマネージメント職は全く異なった業務になります。「自分1人では仕事が出来るが、人を動かすことが出来ない」人材をマネージャーに人選すると、組織はパニック状態になります。(パ二パ二パニックですわ)
ましてや、施術者のように分院長以下の人材では「目標設定意欲、コミットする意思と能力」すらも欠如しているように感じます。この「目標設定意欲、コミットする意思と能力」は「手技勉強会を定期的にやっている」という事ではありません。
あくまでも、自主的であることが前提です。よくある「従業員に恵まれて」とか「従業員に感謝しています」「うちの従業員は、自主的に頑張ってくれています」などの経営者さんの発言を見かけますが、「ほんまに?」と捻くれた捉え方をしてしまいます。(すいません、私が知らないだけでいらっしゃるのでしょう、この言い方が十分嫌味ですよね)
組織に属している人間すべてが「自主的でやる気まんまん」何て院見たことない。というかあり得ない。ここでまたまたですが、「自主的でやる気まんまん」が偉いという事ではありません。人それぞれ人生で重要視する部分が異なるという事です。(はい、ここ重要)無理くり「皆、やる気まんまん」とするので組織の中がこじれていきます。
SL理論の<部下の成熟度>から考えると「とりあえず、決められたことを完全作業でやることを目指そう」「自分のやり方を主張できるのは、決められた事を出来てから」という考え方も少しは理解して頂けるでしょうか。
「飲み会しよう」「従業員の意見を聞こう」「朝礼で理念を唱和しよう」「会議をしよう」は、そもそもコミュニケーションには重要ではない理論
こういった極論を書くと「従業員とのコミュニケーションはどうでもいいのか」となりがちですが、そんな事言ってませんよ。感情論になるのを少し抑えて下さい。「飲み会しよう」「従業員の意見を聞こう」「朝礼で理念を唱和しよう」について私的に反論していきます。
まだまだ、続きますが頑張って読んでくださいね。(動画コンテンツとかやりませんよ)まず、断っておきますが飲み会や従業員に意見を聞く事などを全否定しているわけではありません。私も飲み会大好きですし。(大阪を離れて極端に減りましたが、仕事について熱く語り合いたいですな)ただ、「飲み会や従業員の意見を聞く事=チームワークが良い」ではないという事を言いたいだけです。経営理念の唱和については「やる意味ない」と思っています。
「皆で声を出したりしないと気持ちを切り替えられない」という状態をすぐにでも改善しなければいけません。ミスチルがコンサート前に円陣組まないと聞いたことがあります。「円陣を組まないと高パフォーマンスが出来ないのはプロじゃない」的な内容だったと思います。
関連:朝礼のやり方アレコレ
|「飲み会しよう」に反論
飲み会の目的としては、普段じっくり話する事が出来ない人同士が、仕事を離れた場でコミュニケーションを取ることが目的で良いでしょうか。(無理やりさせて頂きます)
治療院業界でよく飲み会や社員旅行等の写真をアップされている院を見かけます。皆で仲良くやってますのアピールだと思うのですが、飲み会などが苦手な人も沢山います。半強制的な参加なので、仕方なく参加している人も中にいはいる事を忘れないでください。
「飲み会がコミュニケーションに対して重要ではない」という理由は、「事前にコミュニケーションが取れているからこそ飲み会は有効」という理由です。普段の仕事中にコミュニケーションが取れていないのに、飲み会に参加したところで苦痛以外の何物でもありません。
飲み会が楽しくなるのも、苦痛になるのも普段の仕事に掛かっています。<皆で同じことをする=仲が良い>という事ではないと思うのですが、いかがでしょうか。
三隅二不二(みすみ じゅうじ/じふじ)氏が提唱するM行動(集団維持能力)が本当に何を伝えたかったのかは予測でしかありませんが、共同行動する事ではなくて個々がしっかりと役割を果たし、それか相乗効果を生むことだと私は理解しております。
院内でコミュニケーションが取れていない場合は飲み会をする前に、通常作業をしている時のコミュニケーションを見直してください。何だかんだこれが一番大変ですが、一番効果が高い。
という事で、飲み会に対する反論「飲み会=仲が良い」「皆で同じことをする=仲が良い」ではなくて、それ以前に普段のコミュニケーションが重要。これが出来ていなければ、そもそも効果なし。仲が良ければ放っておいても、飲みに行く。で絞めさせて頂きます。
|「従業員の意見を聞く」「会議を開く」に反論
「従業員の意見を聞く」事の目的は、モチベーションアップとさせていただきます。「従業員の意見を聞く」事に関してですが、全面的に否定ではありません。「聞かなければいけない意見と聞かなくても良い意見がある」という事です。
経営者さんが「従業員の意見を聞く」事を院全体で推奨しだすと、中には勘違いした人が増えてきます。言わなければいけない事と言わなくてもいい事(ただの不満)を混同し現場の管理者(分院長)などが苦労することになります。
分院長として現場を見て判断し、指示命令を出すのですが、単純に「やりたくない」という事で意見を言い出します。本当にこれが面倒なことになります。
元記事は忘れましたが、スティーブジョブスの習慣の一つに「会議は少人数で行う」という事がありました。大人数で会議を行う事で、様々な考えや知識レベルが異なるので、会議が非効率になります。とある会議にて、そこにいる不調のない人材がいると、礼儀に注意したうえで、退席をお願いしたそうです。
治療院業界で例えると、経営者のあなたと同様の知識レベルがある人材は、そうはいないと思います。という事は、会議をするにせよ現場で起きている事の不具合を報告してもらう為の会議が精一杯だと思います。(掃除の仕方、挨拶の仕方、予約の取り方などなど)
収益に直結するような会議は、経営者さん一人で考えることが一番効率的だと思います。フロントエンド、バックエンド、生産性、客単価、各種集客媒体の特性などを理解していない人間を集めて会議をしたところで、話しは全く進みません。一度も発言しないまま会議が終わっている人が多数いる場合には、その会議はおそらく意味を成していません。
分院長だからなどの理由で、一歩的に話を聞く会議に参加させるくらいならば、早く帰宅させて屁こいて家で寝かせておいた方が週明け元気で仕事してくれますよ。
関連:会議のやり方
会議をすることが目的とならないようにする事が、会議を成功させるための一番のポイントだと思います。従業員の意見を聞くことに関しては、「知識も経験値も浅い人材が、その場で自分の思い付きで発言し、それが採用されない事に不満を抱く」環境の方がよほど問題だと思います。
「自由な発言を求めて、そこからイノベーションが生まれる」的な考えは可能性はゼロではありませんが、ほとんどないですよね。発言する事は自由で、内容が採用されるかされないかはまた別の話です。「採用が通らないならば、そこから改善案を考えて、再度発言する」というのが本来の形だと思いいます。
勉強しなくても発言が通ると勘違いさせないように注意が必要です。院で影響力のある発言をしたいならば、見合った勉強をしてくださいという話です。
最後に
今回は極論の話をしましたが、いかがだったでしょうか。経営者さんそれぞれ意見があり、「こいつはダメだ」「ふむふむ」「分かるけど、難しい」など色々あると思います。全て完璧な方法は無いので、メリット、デメリットがあるという感じです。
|今回の内容に、賛同できない方へ
内容に賛同出来ない場合にでも、何かしら取り入れられる部分があると思います。「自分の考え方とは違うから、全てダメ」ではなくて、何か取り入れる事があるはずなんです。
人が集まるとキレイごとだけでは、話が進まないので、しっかりと現実を見ながら進めて頂きたいと思います。こんな考えもあるんだな程度で読んでいただければなと。
|言いたい事は分かるという方へ
組織の方向性を変える事は、大変な事です。下手すりゃ退職者が出る可能性があります。でも、やる価値は十分にあると思いますよ。「仲が良い、チームワークが良い」の意味をはき違えないようにしましょう。
改革を行うことで、反発し退職者が出ないように事を進めることが必要ですが、自分の立場が危うくなって退職を申し出るような人材ならば、やめてもらいましょうよ。良い人材ならば、評価基準が変わっても努力で補うはずです。極論なんですけどね。
改革を行うと、本来の部分が見えてきます。「でも」なしです。慎重に準備をこない、改革を進めて行きましょう。現状が上手くいっていなければ、根本的なやり方を変える必要があります。
「組織改革は経営者が行う事で、従業員はそのお手伝い」経営者が変わらなければ、何も変わらない。
今回の内容も、好き嫌いに分かれる内容となりました。これが絶対的に正しいなんてことは無いので、それぞれ信じた道を進めばいいと思います。どんな方法であれ、皆がそこそこ楽しくやれれば良いかなと。(極端に泣く人が減るように)
何か一つの方法や人に惚れ込みすぎると、周りが見えなくなるので注意が必要です。(スナフキンが言ってました)という事を自分への戒めとして終了させて頂きます。ここまで書いて、自分も一定の考えに捕らわれている事を実感。www
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