治療院業務委託契約本当に業務委託?

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整骨院でも整体院でも、一部の雇用形態としてみられる業務委託ですが、素人ながらにちょいと調べてみるとポロポロと色々なことが見えてきました。事前に言っておきますが、労務関係に関しては私ド素人ですので、行動を起こす前には自己責任で調べておくんなさい。間違っている点が多々あると思いますのでご了承ください。

 

業務委託契約なぜ治療院業界でも多く見られるのか?

経営者さんならばご存じだと思いますが、基本的な雇用契約となると院に取って大きなリスクが伴ってきます。社会保険、解雇、残業代等雇用者側にとっては大きなリスクを抱えることとなります。法人化もしくは社員5名以上(だったような気がする)社会保険等の加入義務があります。院にとっては、多くのリスクを抱えながら従業員を雇用しさらに、人件費分+αを売り上げて貰わないといけなくなってきます。通常の考え方でいうと、労働時間が決まっていて、その労働時間の中で売り上げを上げてもらわないといけないわけです。

これがとっても大変なわけです。通常の雇用契約をしてしまうと、労働時間の決まりがあるのでいくら売上高が低くてもそれ以上の労働を従業員にさせることが不可能です。稀に、通常の雇用契約で時間外労働をさせていたりする院もあります。また、月給23万円として固定給を17万円、時間外労働(残業代)○○時間以内6万円のような雇用契約をされている院もあります。

労基に駆け込むお茶目な従業員が稀にいるので、そんな場合は上記のような院は大変苦労するでしょう。

通常の雇用契約の場合労働時間の縛りがあります。しかし、既定の労働時間の内に売上高を獲得する事が年々治療院業界も難しくなっており、そこで業務委託契約ということを利用されている治療院さんが増えています。業務委託契約となると、社会保険、解雇、残業代等雇用のリスクが全て無くなるわけです。従業員を1人雇うことで莫大な固定費が掛かるところを業務委託契約により、経費コントロールが出来るようになるという感じです。

院にとっては労働時間の概念が無くなるし、社会保険の加入義務、解雇時のリスクも無くなり、非常に院に有利な契約方法となっております。簡単に言うと「長時間労働で売り上げ取ればいいねん」的な感じです。整骨院さんでも、業務委託契約で「営業時間12時間で休憩時間は患者がきていない時」何て方法で院を運営されている院もあります。

業務委託契約って、院にとってはとっても有利で使わないと損でしょ!!

のように院にとって都合の良いようには世の中上手くいきません。自院で取られている業務委託契約は、成り立つのか一度見直してみましょう。確かに。「給料を30万円ほど支払えば何時間でも働きます。」という労働者もいます。それにしても、少しお茶面な従業員だと書面上は業務委託を交わして働き、退職時に一気にそれまでの残業代を請求するという従業員が出てきてもおかしくありません。

「えっ、業務委託契約では労働時間の概念はないのでは?」と思ったかもしれません。その通りですが、業務委託契約を成立させることはとってもハードルが高くて、契約書を交わせば業務委託契約成立が成り立ちません。これとっても大切で今まで業務委託という形で従業員と契約されている院を見てきましたが、今回調べてみて分かりましたが今まで見てきた大半の院で業務委託契約が成立していません。簡単にいうと「書面上で業務委託契約を交わせば契約が成立する」と勘違いされている院がほとんどでした。もしくは、分かっていて「従業員にばれる事もない」ということでされているのかは定かではありません。

一般的な雇用契約は各種労働法、業務委託契約は独占禁止法や下請法のように適応される法律関係も異なります。厳密にいうと業務委託契約は法律上の規定が明らかになっていないようです。「契約書なんてネットで、拾えばいいんじゃない?」この方法は大きなリスクが伴ってきます。先ほど書いたように、業務委託契約の法律上の規定が明らかになっていませんので、ネット上で誰が作ったのか分からないような契約書では非常に危険です。

行政書士さんに書類作成の経費をケチってネットの物を使うと、後々のトラブル時に比較にならないような費用を請求されることになりますので、大切なことにはお金を使いましょう。

 

ザックリ説明、こんな業務委託契約は成立しない

業務委託契約を治療院で適応させるためにやってはいけないことを下記に

  • 業務委託契約書を作成して、契約を交わすだけでは成立しない
  • シフト管理(労働時間の管理)の有無
  • 業務内容や業務遂行(指示命令系統)についての指示の有無

治療院での業務委託契約をでの問題は上記のような感じでしょうか?この他にも多々規定はあるようですので、契約書を作成する際には必ず専門家に依頼しましょう。

 

治療院、労務トラブル多いな~と感じる今日この頃

これまで私が治療院経営者さんとお話しさせていただいたり、面接を受けてきたりで感じたことですが、治療院業界本当に人材問題は深刻です。定期的に「絶対に失敗しない人材採用術」「従業員のやる気を引き出す、管理術」何て商材が販売されています。採用前に「○○年間は働きます」のような契約書を書かしたり(契約書として有効なのかな?)面接時に「3~5年間は勤めてくれますか?」なんて質問が飛んできます。気持ちは分かりますが、働いてもいないのに何年働く何て約束はできないですし、いくら口約束をしたところで意味を持ちません。

人材問題はシンプルに考えた方が良いように思います。そもそも、治療院業界の雇用特性としては基本的に長期間(5~10年)の雇用は困難でしょう。独立傾向が強い業界ですし、そこそこの年齢を迎えると独立する事がスタンダードです。このスタンダードの流れを無理に長期雇用を目標とするために、無理な雇用契約書や過度の期待となってしまいます。

一般業種のサラリーマンのように長期間勤めて欲しいという気持ちは分からりますが、他業種の会社などは、給料アップや福利厚生の充実、高齢になった際の業務、退職金等が準備されています。治療院業界では、給料の頭打ちが早期にやってきますし、40代後半~50代になった際に治療院で雇用し続けることが可能でしょうか?

従業員の立場で考えると、給料が上がる見込みもなく、そこそこの年齢になると院の中で仕事が無くなる恐れがある。治療院の従業員で50代の人は見たことない気がする。こんな状況の中で、治療院に長期間勤めることは困難でしょう。経営者さんそう思いませんか?

せめて院で長期間働いて欲しいならば、勤務評価等による給料体系の向上、福祉厚生等の加入、ぜいたくを言うならば退職金制度等が無ければ、長期雇用は望めないような気がします。長期間働いて欲しければ、それなりの環境を準備しなければ無理よという単純なお話です。「従業員の入れ替わりが激しいと、その度に来患数が落ちるし、トレーニングも大変で困ります。」気持ちもわかるのだかが、従業員からすれば「頑張っても頑張らばなくても給料が上がる見込みもないし、退職金もない、いつまで雇ってもらえるか分からない状況では長期間働くことが出来ない」てな感じが従業員の良い分だと思います。

困るのはどちらもどっちだと思います。それぞれの言い分と立場を理解して、環境を準備しないと長期的な雇用は困難だと思います。

長期間院で働いて欲しければ、それに見合った環境が必要。それが出来ないならば、一定期間で従業員が入れ替わっても、院が足り立つように経営するしかありません。

まとめ

  • 今の世の中、どちらかが一歩的に不利益を被るような契約方法は、行政が黙っていません。
  • 長期間働いて欲しければ、それなりの環境づくりが必要。
  • 業務委託契約は治療院業界で成立させることは非常にハードルが高い。

 

治療院業界での人材問題はとっても大変だなと改めて実感しています。治療院の多店舗展開はあまりオススメ出来ない理由はココです。まあ、FC契約を結びロイヤリティ―を抜いていく方法もありますが、これもあまりお勧めできないように思います。トラブルが起きやすいですしね。経営者として労働環境について考える事もとっても大切だと思います。今幸運にも、従業員に恵まれている経営者さんは従業員に感謝しつつ、現状の従業員が退職した後の事も考え準備しておきましょう。従業員は、今労働環境が恵まれているならば、経営者さんに感謝し、労働環境を改善する事の大変さを学びましょう。労働環境を改善していくことは本当に大変なんです。今、用意されている環境が当たり前と思っていると大きな間違いです。

トラブルを防ぐためには、お互い過度の期待をしないことが一番の解決方法かな?以前の上司が言っていました「人に腹が立つのは、人に期待するからだ」、ドライな関係でいきましょう。ということではなく、勝手に期待して裏切られて怒るなということだと思います。


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などなど、長期的に院を繁栄させるために必要なことをお伝えします。
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貴院の治療院経営に取り入れ、土台がしっかりとした治療院を作ってっください。xY1anecBTjhprv91409980744_1409980887 (1)


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