治療院での勤務評価の重要性については、これまでもお話してきましたが、年始という事で過去の事を思い返す機会がありました。私が従業員として整骨院グループで務めていた時に「なぜ、あんなに多くの従業員が息苦しく働いていたんだろう」(正社員とパートアルバイト含めて)と思い返してみましたが、何となく答えが見えた様な気がしたので、ブログにしてみます。
治療院も慈善事業ではないので、経営者は売上高(利益)が気になるところだと思います。
- 売上を個人で獲得している従業員=優秀と評価する
- 手技レベル、コミュニケーションレベルが高い=優秀と評価する
- 部下から人気がある分院長=優秀と評価する
売上高のみで個人を評価すると、当然ですが「売上が高い=褒められる」という事が院の中で浸透していきます。また、手技レベル、コミュニケーションレベルなどのリピート率などで評価すると「リピート率が高い=褒められる」という事が浸透していきます。これらの評価基準で良いのか経営者として慎重に考えなければいけません。
実際に業務として勤務評価制度を取り入れていない院でも、従業員に対して口頭で「褒める、注意する」という事が従業員にとっては評価基準となります。経営者が何気なく言った一言や、ピークタイムに怒りに任せて言った一言が評価基準となり、従業員はその評価基準に基づき行動することになります。
- 経営者に褒められること=〇
- 経営者注意されること=×
売上高や手技レベル、他の従業員からの評判などでのみ評価を行い、従業員がやる気になりドンドン数値が伸びていけば、従業員に対する利益還元にもつながり好循環を生み出すのですが、ことはそう単純でもありません。
以前から言っていますが、治療院のような基本外部に営業出来ない職種で、売上高のみで評価を行うと大きな歪みが出てきます。当然、従業員個人の能力で売上高が上下する事もあるのですが、そこまでの能力を持っている従業員は本当にごく一部だと思います。
多くの治療院の場合は、チームワークで売上高を獲得していく方法が現実的で売上高も安定していきます。そう考えると、売上高やコミュニケーションレベルなどで評価する事が必ずしも正しいとは言えません。(規模が大きな院の場合)
小規模の固定メンバーで、運営していくならば個人売上高の評価で問題ないと思いいます。
規模が大きな院の場合にはマネジメントスキルが、管理職には必須になります。私的なマネジメントの意味は
マネジメント=作業指示を出し数値変化を起こすこと
だと認識しています。優秀な個人プレイヤーが優秀なマネジャーであるとは限りません。マネジメントを行う為には、部下に個人の役割を正確に認識させて、この役割を果たしてもらいチームワーク力を発揮する事が必要になります。
施術者一人を評価する場合に、売上高のみで評価を行うと個人の売上高は伸びたものの、その他の従業員の売上高が下げり、施術者平均売上で見ると、低下している何てこともざらにあります。こういったことが起きる原因は「売上高獲得=高評価」が従業員の脳裏に焼き付いているからですね。マネージャー(院長)は、全体の売上高を上げていくという事が職務になります。
今となれば笑い話ですが、私が新入社員の頃に「個人売上高が低い」という事で、昼休みなどに本院に呼び出しがかかり「患者満足度が低いから、売上が低い」という事で、半強制でトレーニングをさせられていました。
実際の現場で起きている事は「院のヘビーユーザーを囲っている施術者がいた」とか「マニュアル外の手技を使う施術者がいた」という簡単な事なのですが、こういった現象が起きている事は、全ての施術者が理解していましたし、経営者の評価基準が「売上高=高評価」であったり、経営者が手技トレーニングで問題を解決したいという事を従業員は認識していました。
「現状では手技トレ―ニングなどで、売上高の問題は解決しない」と皆が思っていたのに、経営者の評価基準がそこにあれば、そこに向かって進むしかありません。
経営者が欲しい成果=評価基準と単純な構造にはなっていないので、評価は慎重に行いましょう。あなたが示した評価基準が道筋となり従業員は行動していきます。「従業員が動いてくれない」という事が現場で起きている場合には、「評価基準がブレブレ」「評価基準と成果が反比例している」などのケースが非常に多くみられます。従業員個人の能力を疑う前に、評価基準を一度疑ってみましょう。
「その評価基準だと、そりゃ従業員も迷うで」と思う事もシバシバあります。本当に院としてのこれからの在り方を考えて、日々評価を行っているか今一度見直してみましょう。評価基準を見直すことで、従業員の能力が一気に花開くことも珍しくありません。
あなたや幹部の評価基準で、従業員を生かすも殺すも決まります。従業員にこれまでと違う成果を望むならば、評価基準を変える事が一番大きなインパクトとなります。これマジな話です。一回やってみて下さい。
超、超、超オススメ!!
当然、評価基準を変える事は評価者にとって容易な事ではありません。ですが、従業員にとっても行動を変える事は容易な事ではありません。まずは「経営者が動く」という事が何よりも説得力に繋がるのではないでしょうか。
「本当に院として大切な評価基準は何か」年初めで良い機会なので、考えて見てはいかがでしょうか。
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