前回の治療院回数券と会員制、継続課金の種類と戦略、戦術についてを読んで,興味がある各種決算方法があるならば、ドンドン取り入れてみましょう。「回数券や会員制、都度払い」を取り入れることで、劇的に売上高が増大するかどうかは、やり方次第と言ったところでしょう。
さて、どの決算方法を取り入れるにせよ「価格設定をどうするか」という問題があります。価格設定と生産性の設定を誤ると利益の確保が出来なくなるので、価格設定と生産性の決定は慎重に行う必要があります。これまでは、長時間労働などで生産性の低さを補ってきましたが(従業員がいる場合は要注意)、これだけネットで簡単に検索できる時代なので、(労基について従業員が調べることも容易になった)労務環境も改善せざるを得ない院もこれから増えてくると思います。
治療院業界全体の傾向としては、単価が高まってきていますが、こうなると「高額施術」に対して抵抗がある方もいらっしゃると思います。
安価の施術費で低生産性のメニューを提供している院が、単価や生産性が高めるには「高額施術」=「ボッタクリ」という考えかたにとらわれる方も多いようなので、この線引きはどこなのかについて考えてみましょう。
はじめに言い訳を
今回は「料金、生産性を上げる=悪」という考えを「こう考えると、ちょっと変わるんじゃないですか?」を目的に書いています。あくまでも、価格設定は自由で「こうあるべき」というものはありません。「少しでも安価で提供したい」を優先するもしないも、あなたが決める事です。
ボッタクリとはなんぞや??
いつものごとく「ボッタクリ」をググってみました。
こんな感じです。
ここからは、勝手に色々定義して話を進めて行きます
ボッタクリを「相場を上回る、不当に法外な請求をすること」にまとめてみます。この定義で私的に勝手に話を進めて行くと、治療院業界の相場がいくらなのか、という疑問が出てきます。仮に「10分、1,000円」が相場となると、10分1,500円ではボッタクリになってしまいます。
仮に法律で「治療院業界は10分、1,000円以上は違法」と通達が出た場合には、多くの治療院経営者さんが業界から撤退することになるでしょう。
ここで「相場と不当」という矛盾が出てきます。いつの間にか出来上がった「10分、1,000円」という相場ですが(勝手に私が決めているんですけどね)、果たしてこの価格設定が「適正であるか?」という疑問が出てきます。適正価格で考えると、1人の施術者が商品として技術力、コミュニケーション力を身に着けるために、リクルート活動費も含めて「必要な経費を商品に計上出来ていないのではないか?」という疑問が出てきます。
治療院業界の従業員の収入と労務環境を考えると、「10分、1,000円が相場」で「10分、1500円以上が適正」という感じでいかがでしょうか。(何の結論も出ていませんが)
ここまでの勝手なまとめ
- 10分、1,000円が相場
- 10分、1500円以上が適正
|適正価格について考える
価格を上げることに罪悪感を感じている方に、少し考えて頂きたいのですが、例えば1回10,000円の施術費は「高い?安い?」どう感じるでしょうか。1回10,000円では判断がつきにくいならば、それではこの設定でどのように判断されますか?
- 1回、90分10,000円の施術費
- 1回、10分10,000円の施術費
これで1を「適正」と考えるならば「時間をかける=価値」と考えていることになります。念のために再度言いますが、価格設定に正解、不正解はありません。例えばこれまで膨大な時間を手技勉強に投資してきたと思うのですが、施術費にその時間の一部を料金として請求することも抵抗があるでしょうか。手技勉強に熱心な方に限って、料金を上げることに違和感がある事が多いように感じます。(気持ちはわかりますが)
では、違う例えで行きます。
絵画の価格を例に出すと、作品を仕上げるまでに同様の時間を使っても、作者によって価格が全く異なります。例えば、1ヵ月かけて作った作品が20万円の作品もあれば、数億円の作品もあります。この数億円のような(極端な例ですが)作品を「ボッタクリだ」とはなりませんよね。
そう考えると、時間では価格が決まっていなくて「誰の作品か」というところが価格の基準になっています。もう一つ、ポイントがあって「欲しがる人がいるのか」という基準があります。作品を仕上げて市場に「この価格でどうだ」と投げて、「購入者がいるから売れる」というシンプルな構造だと思います。もちろん、後々プレミアがつき価格が高騰する面もありますが。
ここまででいかがでしょうか。価格を見直すことに対して、違和感が薄れてきてませんか。(無理かな??)
|これだけは言える、ボッタクリの境界線
治療院業界にマーケティングという概念が多く普及したおかげで、様々な治療院が増えました。集客し利益の確保を優先する事で不当な行為により、行政処分を受けた院も少なくありません。ふと、思い出した例で言うと「身長が伸びる」とか「顔の骨が動き小さくなる小顔施術」などが、措置処分が出ています。最高額だと、500万円になっています。身長が伸びるというよりも、姿勢が良くなると書く方が適正だと思います。
固有名詞を出してややこしくなるのも嫌なので、リンクは張りませんが、これらの院では現在でもやり方を変えずに行っているようです。
私は,現在美容整体院の代表を務めています。主に小顔になる整体と,身長が伸びる整体をおこなっていて,専用のホームページもあります。ホームページには,「小顔になる整体」・「身長が伸びる整体」という記載があります。
私の整体は好評で,実際に皆さん「小顔になった」,「身長が伸びた」と言ってもらえていました。
しかし,先日消費者庁からホームページの記載内容について,通知書が届きました。ホームページ上の整体院のサービスについて,その表示の裏付けを求めるものでした。この通知の意味を教えてください。私としては,実際に効果が出ている以上,問題はないと思っているのですが,どうなのでしょうか。 http://www.shinginza.com/db/01643.html
「本当に効果があるか、無いか」についての議論は避けておきますが、何となく境界線が見えてくると思います。
「事実を誤認させるような方法で集客や料金を請求する」という線がボッタクリの境界線でいかがでしょうか。とはいえ、この「事実を誤認させる」という線が個人差がある事は間違いありません。優良誤認表示などを順守しながら、自分で納得のいく料金設定を行い、自信を持って請求してもいいのではないでしょうか。
「売れる」という現象に関して、広告表記などで事実誤認を招くような表記が有効なのも事実としてあります。健康食品関連などは特にそうですよね。(私も偉そうに言える立場でもありませんが)
どのラインで勝負していくのかは、経営者さん次第です。これまでの経験値を安売りする事なく、適正な価格で販売し、施術者と患者双方がwin,winになる事を祈っています。「院を運営し続ける」という事はキレイごとだけでは済まないことも多々あるのですが、出来るだけキレイごとを言えるように、泥臭く頑張っていきましょう。
「○○院は、あんなに高額でボッタクリだ」とぼやいていても、あなたの院の収益面が改善されるわけでも、その院が価格設定を見直す事もありません。
最後にしつこいようですがもう一度、価格設定に正解はありません。少しでも安価に提供し、「多くの方に受けて頂けたい」の精神も素晴らしいと思います。「これくらいの利益を、これくらいの労働時間で獲得したい」と「その価格で売れるか」という基準で価格設定を行ってもらえればと思います。
最後に結論
価格設定にこれが正解は、見つけられなかったになります。申し訳ない
最後に価格設定に関して、ご意見があれば下記に(ブログで回答するかもです)
無料プレゼント:治療院安定経営に必要な4つのポイント
長期的に治療院を安定経営させるために必要なポイントをお伝えします。
・スタッフ採用前に準備しておくべきことは?
・メニュー価格設定をする基準とは?
・治療院営を最も不安定にさせる原因とは?
などなど、長期的に院を繁栄させるために必要なことをお伝えします。
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